ホラー映画「愛してる、愛してない...(A la folie…pas du tout…)」

レティシア・コロンバニ監督/2002年/フランス/

空想と現実のサスペンスホラー

〔1〕プレミス(Premise)
ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア
―――――――――――――――――――――
行動的な夢想家が、幸せに暮らす医者の家庭を崩壊させる。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
美学生アンジェリクは心臓外科医のロイックに夢中だ。しかしロイックには妊娠している妻がいる。アンジェリクは離婚間近と気にしない。デートやフィレンチェ行きをすっぽかされるが、めげない。
そのうち、ロイックが患者に暴行したとして告訴される。
その後、暴行された患者が賊に襲われて亡くなる。
アンジェリクがロイックのもとへ駆けつけると、彼は妻のラシェルと抱き合っていた。
 

〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△アンジェリク
 美学生

△ロイック
 心臓外科医

△ラシェル
 ロイックの妻。妊娠中。弁護士。

△ダヴィッド
 医学生。アンジェリクに想いを寄せる。

△エロイーズ
 アンジェリクの親友。


〔4〕・1 行動/意志決定
―――――――――――――――――――――
主人公は何を欲っしているのか。
……アンジェリクは心臓外科医ロイックと結ばれることを欲っしている。

いかにしてゴール(ロイックと一緒に幸せに暮らす)を達成しようとするか。
……贈り物と手紙で、自分がいかにロイックを愛しているかをアピールする。
……障害を排除する。

アンジェリクが行動へ至る意志決定はどのようなものか。
……彼(ロイック)は私(アンジェリク)一筋だから。


[4]・2 リバーサル(逆転)(180度の方向変換)
―――――――――――――――――――――
アンジェリクの視点のストーリーから、心臓外科医ロイックの視点のストーリーへ。
アンジェリクの恋模様を色鮮やかに描くトーンから、ロイックが正体不明の贈り物と仕事のことで悩む様子を描くトーンへ。

〈感情の逆転〉
……アンジェリクはロイックが自分のことを好きだと信じ込み、デートをすっぽかされても、彼を愛しつづける。だが、ロイックが妻のラシェルと抱き合っているところを目撃し、悲しみに暮れる。後にロイックが自分(アンジェリカ)を救ってくれたことから、ロイックは私の命の恩人であり、やっぱり私のことだけを愛していると、有頂天になる。

……ロイックは送り主不明の贈り物や手紙で悩んでいた。作品の中盤を過ぎたあたりで、悩みの種はなくなったと安心する。だが、恐怖をもたらすほんとうの者は、近くて遠いところにいることに気がつく。
 

〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
空想と現実のサスペンスホラー。

あまりに恐ろしいストーリーのため、ラブストーリー風のトーンと音楽で、観客の間口を広げた作品だ。

○作品は三部構成である。
第1部 :アンジェリカの視点(第3者の視点を含)
第2部 :ロイックの視点(第3者の視点を含)
第3部 :すべての伏線(pay off)に決着がつく。

仮に、心臓外科医ロイックの視点だけで語る作品にしたとしよう。作品の紹介として考えられる紹介文は
「それは1本のバラからはじまった。送り主不明のバラと愛のメッセージが臓外科医の幸せな家庭を壊してゆく。姿のみえないストーカーの恐怖。心臓外科医は徐々に冷静さを失っていく……」
といったかんじになるだろう。

人々の関心を集めるたには、この紹介文(宣伝文)はあまり効果的ではない。そこで、積極的な行動派の夢想家(アンジェリカ)の視点の物語を作品の最初に置き、ラブストーリーっぽい雰囲気(小道具、色調)を強調している。

「アメリ」 に主演した女優オドレイ・トトゥ(※)の起用が決まったのはフランスで「アメリ」が公開された1週間後だという。監督は、それ以前からオドレイのことは頭にあったというが、当然「アメリ」の概要は調べて知っていただろうし、「アメリ」も観ただろう。

「愛してる、愛してない。。。」(以下「愛してる〜」)の主人公アンジェリカのキャラクターは、アメリのキャラクターをパワーアップして盲目的な面と行動力を追加したものであることから、アンジェリカ役に最もふさわしい女優としてオドレイ・トトゥを起用したのだろう。
 
この狙いは見事に的中した。「アメリ」は大ヒットした作品であり、2度、3度と映画館に足を運んだ女性も多かったという。それは、アメリの、「恋に不器用でちょっと不思議な、自分の世界を持っている女の子」というキャラクターに共感した女性がたくさんいたからだ。

こうした観客たちが、アメリと似たキャラクター設定でアメリと同じ女優が出演する作品でちょっと変わったラブストーリーらしい、と聞けば、観に行きたいと思うだろう。
 
こうして「アメリ」の観客層を取り込んで、「愛してる〜」の出だしは好調のようである。しかし「アメリ」と同じものを期待した観客は、「愛してる〜」を観るために2度、3度と映画館に足を運ぶだろうか。

このあたりが、「アメリ」との違いがはっきり現れるところだ。もちろん、「愛してる〜」の綿密な脚本と構成をもっとじっくり観たくて映画館に2度、3度と足を運ぶことも考えられる。

「愛してる〜」の監督は学生時代に映画を研究していたときに、『映画の中の狂気』について論文を書き、それが今作品のアイデアの元になっているという。最初からサスペンスを撮ろうとしたことは明かだ。オドレイ・トトゥを起用したのは、あくまで作品の役柄にもっとも合った女優であり、かなりの宣伝効果も期待してのことだろう。映画のタイミングもよかったのだろうが、しっかりと考えた戦略である。

何気ないひとつのシーンが、観方を変えればまったく違ったものとなる。どう違うのか、その違いとは何なのかと知りたくなるように謎を提供する。謎とは以下のようなものだ。、

・心臓外科医ロイックはなぜ患者に暴行したとして訴えられたのか?
・フィレンチェ行きのため空港で待つアンジェリカのもとに、なぜロイックにやってこなかったのか?
・スクーターの事故の真相はどうなのか、バラやロイックのスカーフはどのように手に入れたのか?
 
謎が明かになるにつれて、何気ない普通のシーン(ロイックの行動やりアクション)のひとつひとつが、アンジェリカの視点の物語とは全く違って見えるのだ。

観方を変えることで明かになる恐怖――。バラを1本あげる、カギでドアを開ける、といった普通のシーンがこれほど恐ろしいシーンになることを、計算しつくされた綿密な脚本で表現している。なにが「怖い」か、どう見せれば「怖い」か、の二つをじっくり考え、実践している。

「アメリ」を観て、アメリみたいな子が実際に身近にいたらちょっと痛怖いかも、と思った方もいるという。「愛してる〜」は、その「ちょっと痛怖いかも」というあまり考えたくない方向の予感が的中し、「ちょっとイタいどころじゃなく、洒落にならない、めっちゃ怖い!」作品になった、ということもできるだろう。
 
「アメリ」の、恋に不器用な内気で不思議な女の子が夢想しておちゃめな行動をするぐらいならいいだろう。だれでも密かに思いを寄せる人と幸せな日々を送るという想像をしたことはあるだろうから。

だが、その想像がエスカレートして空想の世界から現実の世界へ飛び出し、手がつけられなくなったら……。

題名等は忘れてしまったが、アメリカの短編作品で、ある男の子が考えたことや思ったことが実際に起こるという家に、ひとりの女性がやってくる、というのがある。

その家の家族は怖がって、男の子のいいなりになっている(男の子の姉はしゃべることができないように口を閉じられてしまっていた)。男の子はわがまま放題で、食事はハンバーガーやお菓子ばかりで、ちょっとでも思いどうりにならないことがあると、テレビアニメのキャラクターを登場させたり、気に入らない相手を変身させたりする。
これは、主人公が奇妙な世界にまぎれこんでしまうというホラー系の作品だったと思う。
 
この男の子から魔法等の特殊能力を取り除き、盲目的で行動的な夢想家の女性に変更して、ストーカー、殺人といった出来事を描いたのが「愛してる〜」だ。

「恐怖は身近な日常に潜む」
「恐怖は日常との対比で強調される」

作品の構成に必然性がある、綿密に練られた脚本だ。
 
心臓外科医ロイックに異常な状況や事件などが降りかかり、なんとか脱出や解決をしようとする、サスペンス、スリラー、ホラー作品だ。


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posted by タカ at 18:31 | Comment(1) | TrackBack(0) | サスペンスホラー
この記事へのコメント

尺八してもらったけどありゃたまんねーな!!
ジュパジュパ凄い音させながら吸いつかれて、30秒で発射しちまった(笑)
しかもオレ、女にお任せして寝てただけなのに5マソも貰った件wwww
http://6xmqvpt.jp.takaoka.mobi/
Posted by 吸引力の変わらないただひとつの… at 2011年08月03日 09:45
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